「これがラグビーです」リーチマイケルが35歳で臨んだW杯アルゼンチン戦…「日本代表にとって新しい歴史になる」
2023年 10月 16日世界の舞台でまるで歯が立たない暗黒時代を肌で知り、最前線に立って日本を高みへと導いた先駆者でもある。これがラグビーです――W杯を4大会連続で戦い抜いたリーチマイケル(35歳)の言葉には夢破れた無念と揺るがぬ矜持が溢れていた。
背番号6は特別だった。
しなやかで、強靱。相手に身体をぶつければすぐに立ち上がり、次のボールキャリーへ、次のタックルへと走る。
重量感とスピードの両立。他を圧するほどの存在感がありながら、その足取りはどこか軽やかだ。どこにでも現れて強く激しく身体を張る。張り続ける。
リーチマイケルは、それをワールドカップ(W杯)の4試合、交替したサモア戦の最後の5分間を除く315分間にわたって遂行し続けた。
10月8日、フランス西部の港町ナント。8強進出がかかったアルゼンチン戦は、互いにトライを取り合う熱戦に。前半は先行されたものの14-15の1点差で折り返し、後半も2度にわたって2点差に迫った。しかし日本は一度もリードを奪えなかった。
27-39の敗戦。試合後、フラッシュインタビュー。リーチは口を開いた。
「全力を尽くしました。ここまでいい準備をして臨んだけれど、今日は相手の方が強かった。これがラグビーです」
常に先頭に立って、身体を張り続けた男は、潔く相手の勝利を認めた。